2014年2月9日

メイビン・ブラック・ブライア1


「頼まれていた薬ができたわ」
首長となり名実ともにリフテンの支配者となったメイビン・ブラック・ブライアの前に、娘であるインガン・ブラック・ブライアが報告に訪れた。
あらゆる薬物とその人体への影響を無心に研究し続けるインガンは、現在ではメイビンの裏の仕事に欠かせない毒物や麻薬の類の供給を一手に引き受ける役目を担っていた。


「それは…本当に完成したというのですか?」
常にない興奮を隠し切れぬ様子で問うメイビンに、インガンはただ不敵な笑みを浮かべている。
「よろしい、では奥においでなさい」
その態度を小癪に思いながらもメイビンは、インガンをミストヴェイル砦の首長の自室へと通すのだった。



「それで?」

冷静さを保とうとする努力も棚上げにして、メイビンはインガンを急かした。
インガンはそんなメイビンの様子を楽しむかの様に、2本の大振りな薬瓶を取り出し、テーブルの上に置いた。そして赤い方の薬をつまみ上げる。


「これが若返りの薬。青い方で元に戻るわ」


「こ…これで…私が一番美しく力強かったあの頃の姿に戻れるというのですね」

「母さんのお望み通りになる様、成分は調整済よ。言っておくけど」

インガンは口調を強めた。

「不老長寿の類の薬じゃないわ。肉体の活性・老化を一時的に促進させて姿を変えるだけ。見た目が若返っても寿命が延びるわけでもないの」

「わかっています。あなたの報告資料は最初から目を通していますよ」

メイビンはぴしりと言い放つと、赤い薬瓶を手に取った。

「人体への悪影響はないのでしょうね」

「ええ、あの方のおかげで…被験者へ及ぼす効果についてはもれなく調査済よ」

メイビンは唇の端を吊り上げた。

「‘あの方’? あの男に随分とへりくだったものですね」

「あの方のおかげで、錬金素材にも被験体にも不自由することなく進められたんだし…感謝するべきだわ」

「まあいいでしょう。あの男がブラック・ブライアに役立つなら、見合った見返りのみ与えることです。いいですね」


そしてメイビンは、赤い薬瓶の中身をひとくち、口に含むと飲み下した。




「こ、これは…?」

「随分とかわいらしい姿になったのね、母さん」


「お黙りなさい、インガン! 誰が…誰が、こんな小娘にする薬を作れといいましたか!! 私が最も美しく力強かったあの頃の姿へと…この、愚か者!」


「だってねぇ、母さん。私が見たことのある母さんが、美しかったことなんてないんだもの。だから私が生まれるずっとずっと前の頃に戻してあげようと思ったのよ」

「お前…まさかわざと…」


「母さんが今飲んだのは特別製。持続時間も長くなっていて、少なくとも数年か、ひょっとしたらずーっとこのままかもね。今飲んだ薬のせいで、成分自体の効き目が極端に強くなる体質に変わっているから、青い薬を飲んだりしたら今度は年をとり過ぎて干からびたドラウグルみたいになっちゃうわ。疑うならご自由に試してみればいいけれど」


「なぜ…こんなことをしたのです」

「そうね、この薬が女性性器に及ぼす再生効果と、再生後組織の使用における再破損と適応効率の比較検証…かしら。つまりね、」


「母さんが太くて固いおちんぽに引き裂かれて、処女を喪失するのが見たかったの」




「ふふっ、母さんたらあんなに取り乱して…」


「そちらはバルコニー、行き止まりよ…」




「あの大きくて固くて、情け容赦のない獣みたいなおちんぽが、あんなに可愛く小さくなった母さんのお口やあそこを強引に貫くのを見られるなんて…どきどきしちゃう」


メイビンは男の反り返った剛棒を突きつけられ、その熱くたぎる欲望を感じるともなく感じていた。久しく忘れていたが自分はそういう身体だった。
におい、張り、色、体温、そんなものから男の顔色をうかがう様に劣情を読み取り、ただそれを満足させ放出させるためにだけひたすら奉仕する存在。


だがメイビンは女であることのその理を受け入れ、全てを利用して富と権力を謳歌する現在の地位を手に入れたのだ。
今も身体と頭の中心は妙に冷えていて、とにかく挿入を許す前にこの男に従順に奉仕し、鋼の凶器のごとき肉棒から汚らわしい体液をなるべく多く放出させるべきだという、心の声に耳を傾けていた。





だがよりによって、この姿とは…。
無垢な少女だった頃と、冷酷な野心家として歩み始めた頃との狭間の、あの時代。


いや、今は忘れよう。ただひたすら、目の前の男性器に舌を這わせ、唇を捧げ、心身ともに全てを委ねて奉仕しなければ。
早く確実に男を射精に導くために、彼女はいつもそうしてきた。今も決して仕損じることは許されない状況だ。
近い。男の汚らわしい体液を、口の中でも顔一面にでも、とにかく望むところに望むだけ出させてしまうのだ。






メイビンは白く滑らかな頬にぶちまけられた男の劣情の体液の感触への嫌悪感に目を閉じて耐えている。
まつげを微かにふるわせて悲嘆と諦めの表情のまま、男の征服感を損ねることのない余韻をつくり出し、そして馬鹿げた狂宴を終息に向かわせる。

そのはずだった。だが、この男の欲望はこんなことで収まるものではなかった。

2 件のコメント:

  1. おじゃまします。
    今回もエロいですね。
    呉羽さんのが、なぜこんなにエロいのかと考えたんですが
    やっぱり文章ですね。
    表現力のある文章での語り口調はやっぱり惹かれますね。
    第三者的なナレーションは日本人の文化ですな←と変態が偉そうに語ってみるw
    続編楽しみにしてます。

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    1. ちょっと妄想行き過ぎでイっちゃってると思われる時もあるかも知れませんが、引き続き自分がエロいと思う感覚でやっていきます。
      エッチの行為自体のSSがちょっとマンネリなので、シチュエーションの「説明」に凝っているという面もあるかも…。マンネリ打破を考え中です。
      またお立ち寄りください^^

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